ENo.1041 イレルミ・ヴェン＝トゥリ

Ylermi Ven-Turi

――地球、日本。

異世界からの難民のひとつ、「ライカ」を受け入れてから既に30年余りが過ぎようとしていた。

子供の頃、欧州にて家族をテロで亡くしたことで、10代の殆どを海外の対テロ活動で過ごすことになったイレルミは、父の友人であり警備会社（という名目の民間軍事会社）の重役でもあった男の誘いで日本へと帰国する。

それから数年。警備会社に勤めるイレルミは、上司であり義父でもある部長の享楽的な陰謀により、魔法の薬で少女の姿に変えられ、学園島へと送り込まれてしまう。
任務は「学園理事の娘を護衛すること」。

学園で出来た新しい友人たちを巻き込みながらも、紆余曲折を経て事件は無事解決。
10代の時出来なかった学生生活を、今この機会に体験させたいという義父の想いから、護衛継続の名目で学園へ通い続けることになった。

――ある日のこと。

友人2人が共同で行った、理論上は可能なはずなのに何故か成功しないという、異世界へのゲート開通実験が成功してしまった。
実験設備の中心で魔力供給を行っていたイレルミは勿論、実験に協力していたほかの4人の友人たちや、教授と研究員たち、見物人の義父をも巻き込んで、落ちた先は――

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戦士の一族「トゥリ」族の、族長「ヴェン」一家の長男だったが、義父の口八丁手八丁で騙されて飲んだ魔薬の効果で、見た目は12～13歳くらいの少女にされている。

魔薬は、父の友人でありライカ専門の考古民俗学研究者が、ライカの古代遺跡から発掘したもののひとつで、教授が研究し複製に成功したもの（しかし発掘されたオリジナル自体が失敗作なので本来の効能ではない）。

金色に輝いているかのような瞳に、お尻まで届くほど長い銀髪。
神経が通っているわけでもないのに髪を触られると擽ったく、切られると痛みを感じる。「魔力が髪に宿っているから」だという俗説があるが、魔力で髪を操れる技があるためあながち間違いではないのかもしれない。

ライカ人らしい垂れ気味の長い耳は、幼生体を示す薄桃色の毛に覆われ、制服のスカートから覗く尻尾も同様にもふもふだ。
華奢で小柄な外見からは想像もつかないようなパワーを持ち、相手が人間の大人ぐらいであれば片手で持ち上げることもできる。

魔術を駆使して素早く動き、手にした2本のナイフで敵の懐に喰らいつく様は、まるで狩りをする狼のよう。普段は見えないが体中に魔術回路が刻まれており、回路を起動することで障壁を張ったり魔力弾を撃ったり空中の足場にしたり超スピードで移動したりできる。催眠術は使えない。

ハルマーという名の狼を連れている。周囲からは主人とペットのように見られているが、当人たちにとっては義兄弟の間柄である。

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※絵は「なの」さんに描いていただきました。