ENo.2735 琴畑　雫

行き交う生物を見ていたソレは常々「動ける」事を羨ましく思っていた。
ある日傷ついた２人の生物、ニンゲンとヨウセイが自分の幹にもたれたまま力尽きた翌日、気がつくと何故か動けるようになっていた。

―死体は綺麗な花を咲かすという　私は咲いた花なのか？―

よくは分からないが動けるようになった事に感謝し、世界を巡ってみることに決めた。
固有名はなかったので、息絶えた２人の名を（勝手に）名前と愛称に付けた。

植物体（身体の構成要素は植物のそれのはず）ではあるがぱっと見た感じはニンゲンとヨウセイの中間くらいの女性に見える（故に以後は便宜上彼女と呼ぶ）、所々にある特殊な模様以外は。

動けるようになった反動か、光合成はほとんど出来なくなった。
他の生物の細胞を摂取して動く生き方にはまだあまり慣れていない。

恐らく長く生きてきたが知識は特にない。動けない状況で得られる情報はある程度固定されるからだ。

火を好み使うため、他の植物達からはすこし距離を置かれている。いつか自分も燃えて終わるかもしれないがそれでも構わないと思う、
だって、火は常にあったし　存るし　これからも在り続けると考えているから。

正確は温和でおしとやかだが、戦闘中に熱くなってしまう時もある。
そして　熱くなる＝言葉遣いが乱暴になる　と思い込んでいる節がある、困ったものだ
言葉はまだまだ勉強中であり、言葉遣い等も安定していない。

今日も彼女はひらひらしながら、ふわふわしながら、適当に生きている。
世界は命に溢れ瑞々しい・・・それが嬉しくて、ココが好きすぎて、
第六感と命だけを頼りに、あっちへふらふらこっちへふらふら・・・・・

０日目
・～・～・世界はまだ、壊れてなんかいなかった・～・～・
７日目
・～・～・西の海の向こうから、ミシミシと音がしている・～・～・
１４日目
・～・～・この世界は球形なんかじゃない、海の向こうに何があると思う？・～・～・