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世界共通! No.2520 FMぼりじお | K・L・マイス |
冒険がひと段落したら、人間は宿をとる。いつもいつも野宿じゃ休まるものも休まらないし、それが女なら風呂にだって入りたい、身奇麗にだってしたいだろう。それは、車椅子だって同じさ。 つまり、誰にだって、どんな生き物だって、生きてりゃ棲家を必要とするもんだ。車椅子の俺、このK・L・マイスにだってそういうものはある。 前置きが長くなっちまったかな。 実は、今日話したいのはそんなことじゃない。ラジオの話さ。 俺が住処にしているアンティークショップ、そこにはいくつものモノたちがひしめきあっていてね。車椅子は俺しかいないが、椅子やテーブルなんてありきたりなものから、何のためにあるのかわからない仮面やら、果てはどこかの世界の武器みたいなものまで、まあとにかく節操もなく店内に溢れかえってるってわけさ。 もしかしたらひとつやふたつ、俺と同じような境遇のやつもいるのかもしれないが、生憎まだ口を利いたことはないね。ま、言葉が使えないからって意識がないとは限らないけどな。 で、ラジオの話だ。 俺がまどろんでいると、ラジオのやつが突然喋りだす事がある。勿論、比喩だけどな。 だいたい、世界が更新される時が多いか? ラジオのやつがぼりとかいう男からの電波を受信して話し出すのさ。何度か聞いてみたが、そりゃもう酷いもんでな。決まった話題があるわけでもない、役に立つ話を聞かせてくれるわけでもない。会えもしないどこかの世界のどこかの誰かの紹介をしてるだけの時まである。ソイツが実在するのかも俺にはわからないが、まあ、暇つぶしにしてもお勧めしないね。うるさいだけさ。 極めつけには、そのラジオ、たまに俺の独り言に返答することまである。話題をクレ話題をクレ言っているからちょっとからかってやったら、律儀に答えやがったよ。もしかしたら、俺の呟きすら聞かれてるんじゃないかと思うね。気になったらこの場所で何でもラジオに話しかけてみるといい。気が向いたら返事があるんじゃないか? まあ、期待しない方が良いとは思うがな。 まあ、それはそれとしてだ。 たまにラジオのやつに聞いてやるんだよ。「お前本当は、生きてるんじゃないのか?」ってな。 「さあね?」だとさ。 あ、もしかして、俺が何か良くない電波を受信しちまってるとでも思ってるんじゃないか? それは、俺にはわからんよ。 ま、あのぼりとかいう男はどうもいいかげんそうだからな。その声を聴いたとしても、この世界では話題に出さない方が良いかもな。 そうそう、その番組の名前なんだがな。 ぼりじおって言うんだそうだ。 |
コミュニティ参加者 |
参加者 計 7 名
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